飛距離アップを科学する
飛距離アップを実現するにはヘッドスピードを上げることよりもミート率を上げるゴルフスイングを心がけた方が正解だという考え方があります。
女子プロの横峯さくらは、小柄なのによく飛ぶと皆が感心して眺めていることでしょう。
横峯さくらは、ダイナミックな振り幅のゴルフスイングがトレードマークとも言われるほど力強いイメージが強く感じられます。
しかし、横峯さくらは身長155センチに過ぎず、体格的には普通の女性と大きく違うわけではありません。
それにも関わらず、ドライバーの飛距離は260ヤードオーバーということで、その原因がわかればアマチュアゴルファーも大いに参考にできるのではないでしょうか。
アマチュアの男性ゴルファーで身長170センチ70キロくらいの人でも横峯さくらはほどは飛ばないケースがほとんどではないでしょうか。
実際、250ヤード近くまで飛べばキャディから賞賛されるほどのものですが、ほとんどのゴルファーは230ヤード飛べばマシな方ではないでしょうか。
このパフォーマンスの違いがどこから生まれてくるのかを科学してみるわけです。
最初に、計算式を示しておきます。
運動エネルギー=1/2X質量×(速度の2乗)
この式で、質量に対応するのがクラブヘッドであり、重い質量のヘッドで打つほうが運動エネルギーは大きくなることを意味しています。
また、速度が速くすればその2乗の分運動エネルギーは大きくなることも同時にを示しているものです。
運動エネルギーが大きくなれば、理論上は飛距離アップすることになります。すなわち、ゴルフスイングは速いほうが良いということになります。
その意味では、身長が高くて、相対的に腕が長い一般男性ゴルファーの方が有利であり、筋力が強いほうがまたアドバンテージがあるという理屈になります。
どちらも、一般男性ゴルファーが横峯に負けるはずはないというのがこの式から言えることでしょう。
理論上では男性アマチュアゴルファーの方が飛ぶはずということが言えますが、何が違っているのかこの式ではわかりません。
その秘密はインパクト効率の違いにあります。表現を換えれば、ミート率の違いとも言えるものなのです。
ミート率=ボール初速÷ヘッドスピード
ミート率を示す上の式にボール初速毎秒60メートル、ヘッドスピード毎秒40メートルを当てはめると、ミート率の数字は1.5と計算できます。
一般的にこの1.5に近い数字になるほど、生み出したエネルギーが効率良く飛距離に変換できると言う意味を持ちます。
大部分のプロゴルファーはこの数値に近いものを出せますが、アマチュアゴルファーの場合は1.4を切ることが普通です。
つまり、体格的に劣る女子プロゴルファーが男子アマチュアゴルファーよりも遠くに飛ばせる理由はここにあると言えるのです。
野球のセンター返し
落合博満は、日本のプロ野球界で3度の三冠王に輝いた名選手であり、彼のバッティング理論に文句をつけられる人はおそらくいないのではないでしょうか。
その実力者が著書の中で、バッティングの基本はセンター返しであるという持論を展開しています。
両肩を結ぶラインと平行に打ち返すのが最も自然で理にかなった打法であるからだと説明しています。
つまり、最も力強い打球が飛ぶのがセンター返し、もしくはピッチャー返しというものが、ゴルフにおいては飛距離アップと共通している点です。
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遠くに飛ばすためにはインパクト効率即ちミート率を上げることこそが重要だ説明しました。
ミート率と聞いてピンとくるのは「スイートスポットに当たるか否か」と点かもしれません。
もちろん、スイートスポットに当たらなければクラブ性能から考えて最大の反発特性が発揮できませんから、ボール初速が高くなるはずもありません。
それなら、スイートスポットに当てればそれで即座に飛距離アップに結びつくのかといえば、そう単純なことにはなりません。
スイートスポットにうまく当たっても、ミート率は最適となれる1.5に到達しない可能性もまだあるのです。
うまくスイートスポットに当てたとしてもクラブフェースを開いていて右方向へ飛んだり、フェースを閉じていて左方向に飛んだりすることも考えなければいけません。
もしくは、ロフトを寝かせたり、極度のアッパースイングになっても、反対にダウン軌道になっても、ゴルフスイングにおけるボールを飛ばすためのミート率は下がってしまいます。
初速に関してだけ言及すると、バットやヘッドを振る軌道にジャストで合う角度と方向に打ち出すときこそが最もん速くなりますし、インパクト効率が高くなるのです。
これをゴルフスイングに置き換えてみれば、インサイド・インの軌道で、レベルかもしくは若干アッパー軌道にヘッドをボールに入れていく振り方が相当します。
フェース面がボールに対して壁の役割を果たしエネルギーを飛ばす方向にムダなく伝達できるためです。
つまり、ヘッドスピードに固執するよりも、ミート率に注目してゴルフスイングを見直すべきだということが飛距離アップのための秘密だと言えるでしょう。
そして、ゴルフショップなどで計測機器で実際の自分の打ち出す数字をチェックしてみましょう。
プロゴルファーはミート率を上げたい場合に、非常に単純ですが有効な方法があります。
グリップエンドを1インチ(約2.45cm)余らせて握るという実にシンプルな方法です。
野球でも大振りをしないように、確実にボールを叩こうとする場合にグリップエンドを余らせて打つのと同じ意味を持ちます。
クラブヘッドの操作性がアップして、スイートスポットに当たりやすくなります。
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仮に、この作戦のせいでヘッドスピードがダウンしたり、シャフトのしなりで劣っても、スイートスポットに確実に当てるほうが飛距離という最終的な結果はよくなるでしょう。
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