ゴルフボールの規格と構造
ゴルフ上達のカギとしてゴルフクラブがクローズアップされることは非常に多いことはご存知だと思います。
しかし、その一方でゴルフボールに関してはそれほど注目を集めているといったニュースは少ないでしょう。
今回はゴルフボールの規格とその構造について、簡単に説明しておきましょう。
まずは、ゴルフボールの重さに関しては1.620オンス(45.93g)以下という決まりがあります。
ゴルフボールの規格自体が最初に決められたのは、1930年の全英ゴルフ協会(R&A)によるものです。
今日では、全米ゴルフ協会(USGA)と全英ゴルフ協会によって、4年に一度ルールの見直し改正が実施されています。
ゴルフボールの直径に関しては、やはりルールで定められていて、1.680インチ(42.67mm)以下と決められています。円周に換算すれば、直径×3.14で計算して、133.9838mm以下ということです。
ゴルフボールの構造
ゴルフボールの大まかな構造は、外側のカバーと内側のコアの部分から成りたっています。
今日、一般的に使われているボールは、ソリッドボールと呼ばれる種類に分類されるものです。
素材としては、外側のカバーには合成樹脂を用いて、内側のコアには合成ゴムが使われるのが一般的と言えるでしょう。
近年では、ボールの性能をさらに向上させる目的で、カバーやコアを多層化構造にした3層構造のスリーピースボールがあります。
それどころか、4層構造のフォーピースボールまでもが主流となっていますが、ある程度個人の好みで選ばれている側面があることは否定できません。
ソリッドボールが主流となる前の時代として20世紀初頭が注目されます。このときは、糸巻きボールが主流で使用されてきました。
外側からカバー、糸ゴム層、セッターの3層構造設計となっており、高反発力を生み出す糸ゴム層が一番の特徴でした。
糸巻きボールはプロゴルファーやシングルプレーヤーから絶大な支持を受けていたボールでした。
しかし、センターの芯に糸ゴムを巻きつける工程は特殊な技術が必要であるため、今日では、製造数も限られ、ゴルフボールの主流とは言えない状況にあります。
また、もっと古い時期に遡ると17~19世紀の半ばの時代には、「フェザーボール」と呼ばれた水に濡らしたガチョウの羽を牛皮など動物由来の材料に詰めたボールがよく使用されていました。
その後、先程説明した天然ゴムをボールの形に成形したガッタパーチャボールと呼ばれるボールの発明がありました。
ディンプルというものはこのガッタパーチャボールに細かい傷をつけるという工夫から始まったものですが、詳細は後程説明しましょう。
ゴルフボールが飛ぶ原理
物理学的に説明すればゴルフボールは、ゴルフクラブで打たれた衝撃によって、運動エネルギーが発生することで飛ぶということになるでしょう。
ボールにクラブがヒットしたインパクトの瞬問にボールにかかるパワーはおよそ1トンにも及ぶとされています。
非常に大きな力が加えられたゴルフボールは、瞬間的につぶれて変形をおこします。
しかし、その一方でボールには原型に戻ろうとする別の力が働きます。この反発力が大きい条件のゴルフボールほど、クラブフェースから弾き飛ばされたときに、遠くまで飛ぶことになります。
糸巻きボールが人気を集めた理由は、こうした高い反発力にメリットがあったせいだと言えるでしょう。
金属粉末入りボール
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最近は軽金属に属する素材がウッドやパターヘッドとしてよく使用されていますが、クラブヘッドを大きな設計にできたり、重量配分の設計上の自由度を確保しやすいという点が評価されたのでしょう。
さらに、それだけさまざまな機能や性能のゴルフクラブ作りが可能になったというのが今の時代と言えるでしょう。
では、反対に重い金属はゴルフの道具に不向きかといえば、そうとは限りません。例えば、近年注目を集めてきた素材にタングステンが挙げられます。
タングステンは比重が19.3もあり、金と同じくらい重い物質です。これがどのような意味でゴルフ道具に使われているかといえば、やはり重量を調整するとうい役割を担うためです。
キャビティーバックが出現しはじまた1974年には、アメリカ製のエクスキャリバーというアイアンのトウとヒールに、タングステンのおもりを埋めこんだものがゴルフの道具としての先駆けだったのかもしれません。
しかし、現在ではそれより違った使われ方が編み出されてきています。タングステン入りのゴルフボールも出現したのです。
その狙いは、慣性モーメントを大きくすることでスピン性能を改善する点にありました。そのゴルフボールはダンロップが1996年4月に発売した「ツアースペシヤル・メタルミックス ダブル」というボールです。
タングステン粉末を樹脂に混ぜ合わせたものをコアとカバーとの間に入れた3層構造だったボールです。
一般的に慣性モーメントの大きいゴルフボールはスピンがかかりにくい性質を持ちますが、逆にみれば一旦スピンがかかってしまえば今度はほどけにくくなるということも意味します。
つまり、ヘッドスピード秒速42~43メートルで打つと安定したスピン量が得られて、ボールの落ちぎわまでスピン量が下がらないので強風の条件でも安定した強い弾道が期待できるわけです。
それと同時にスリーピース構造自体も、アプローチでもコントロール性能が上がると言われています。
アベレージクラスよりももっとパワーあるゴルファーには興味深いボールでしたが、アプローチでのトップは止まりにくいという点も付け加えておきましょう。
ディンプルというもの
ゴルフボールにあるディンプルというものは、ボールの表面に無数にあるくぼみのことを意味しています。
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くぼみの数としては、一般的なゴルフボールで350~500個ですが、くぼみの深さや並び方にはさまざまなタイプがありパターンが違っています。
わざわざディンプル加工をボールに施す理由は、ひたすら飛距離アップにあると考えて良いでしょう。
ゴルフクラブから打ち出されたボールは、ボールの進行方向とは正反対の方向に働く空気の抵抗を受けつつ飛んでいくことになります。
空気抵抗力が少なければ、ボールは遠くまで飛ぶことが当然に理屈ですが、空気の抵抗力を弱める効果を期待して作られているのがディンプルのくぼみです。
空気が、ボールの表面に沿って流れる際に、つるつるの表面状態のボールでは飛距離アップの要素となる乱流が生まれてきません。
ところが、表面にくぼみがあることによって、くぼみの1つ1つで渦が発生して乱流が生まれてきます。この乱流が空気抵抗を弱める役割を果たして、飛距離アップに貢献してくるのです。
今日では誰も何も疑わずディンプル加工されたゴルフボールを使用していますが、ボールに最初からディンプルがつけられていたというわけでもありません。
飛距離にとって重要な役割を果たすディンプルも、たまたまの偶然からその効果が見いだされたと言われています。
昔はボールが非常に貴重なものだった時代がありました。この頃に長く使い古して細かい傷が表面についたボールの方が、真新しいボールよりよく飛ぶことがわかりました。
そこで、意図的に新品のボールをハンマーで叩いてみて、表面に傷をつけたことがディンプルの起源だといわれています。
当時のボールは、「ガッタパーチャ」と呼ばれる種類でゴルフボールとしてある時期はよく使用されていた種類のボールでした。
イギリスで生まれたのは19世紀半ばと言われています。
ガッタパーチャと呼ばれた天然ゴムの樹液を丸くして固めて製造されていて、ガッティボール、カッティとも別名で呼ばれていた表面がつるつるのボールでした。
このゴルフボールは19世紀の終わり頃にハスケルボールと呼ばれる糸巻きボール始まりとも言われているものが発明されるまで、ずっとゴルフが盛んだったイギリスを中心に使用されてきたという歴史もあります。
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